STORY          誕生秘話

子どもの散髪がうまく出来ない!

我が子の散髪をする中で、
「もっと簡単に散髪できる商品はないものか…」
と思ったのが出発点。

現会長が30年以上前に我が子の散髪をしていました。その頃はハサミを使いながらでしたが、子どもはじっとはしておれず動いてしまう、ハサミで切るザギザキする音に怖がってしまい中々上手くカット出来ない。「もっと簡単に散髪できる商品はないものか…」と不便さを感じながらも行っていました。

Saloneヘアカットブラシ誕生のきっかけ

女性がヘアブラシで髪を梳かしている様子を見た時、
「このブラシで梳かす動きで簡単に散髪できないか?
何らかの形でカミソリの刃を取り付ければ、
髪を梳いたりカットできるのではないか?」と漠然に考えていた。

スイスで発明・くし型カッター

ある日、勤務先の同僚が急に髪を短く刈り込んできて、びっくりしたことがありました。事情を聴くと、くし型ヘアカッターを使って自分でヘアカットして失敗。床屋さんに駆け込んだのですが「一度短くした髪は、長く見える様にはできない。短い髪に合わせた髪型にするしかない」と言われ、その髪型になってしまったそうで、職場で大笑いしました。私はそこで初めてくし型ヘアカッターの存在を知り、改めて「簡単に自分の髪をカット出来るものがあれば、使う人もいる。便利だな!」と感じました。

試行錯誤の連続

ヘアカッターのカット構造から抜け出せず、
この製品を基にしたアイディアの試作を繰り返し、
ヘアカット失敗の連続。

ヘアブラシを使って「ブラッシングするだけで、髪が梳けないか」と考えても、くし型ヘアカッターの構造から抜け出せず、平櫛を3重にしてブラシに見立ててみました。クシのピンをブラシに見立ててクシを何枚か重ね、クシとクシとの間にカミソリを取付け、ブラッシングするようにカットしてみました。この製品を基にしたアイデアしか考えられず、くし型ヘアカッターを基にした試作を繰り返していました。

髪の表面が直線にカットされ、見た目にも問題を残す結果でした。これでは、ダメだ。違うやり方を考えなければ…次に挑戦だ!

ヘアブラシにT型カミソリを取りつけてみる

平クシがダメなら、市販品のヘアブラシの中心部に、T型カミソリを加工して取り付けてみよう!試作品を作り、ブラッシングで髪をカットしてみました。

髪の表面はカットできるのですが、技術が必要で、直線や虎刈りになってしまう結果に。また、「カミソリの刃先がむきだしの為」、手を切りやすく危険を感じて行き詰まってしまいました。

安全対策とカミソリの位置

そこで、T型カミソリに針金を巻き安全を確保して、ブラシのピンの後方にカミソリが来るように、カミソリを取り付け、どのように髪がカット出来るか、これにより何か新しいアイデアやヒントが浮かんでこないかとテストを繰り返しました。

刃先に針金を巻いたことで、髪がザックリ切れたりせず、少しは安全性が増したものの、表面の髪をそぐヘアカットは変わらず、前回同様にカットされた跡が直線になってしまいました。どうしたらいいのか?新しいアイデアが全く浮かんで来ません…
それでもあきらめることは出来ませんでした。

T型カミソリを母体にしてみたら、どうだろうか?

T型カミソリの形を生かし「ピンを取付けてカット用具は出来ないか」安全のためにピンを大きくしたり、刃先のピンを円形にしたり、「ブラッシングできるようなものが出来ないか」と、考え付く物を端から試作し、髪をカットしながらアイデアを探りました。

ピンを長くして、刃先の部分と少し離してみたり…
ピンを板状に試作してみたり…
ピンをリング状にしたり、カミソリ部分に小さなピンを付けてみたり…

考え付くアイデアの試作を繰り返し、髪をカットしながら考えましたが、相変わらず、これは・・・と思うアイデアは浮かんで来ません。

安全最重視の発想から抜け出せず…

ブラシに刃物を取り付け、頭皮の近くの髪(表面より奥の髪)をすこうとすると、まず安全を最優先に考えてしまうため、カミソリを頭皮から遠い所、ブラシのピンの根元に、刃物を横に付ける事位しか頭に浮かばず、その状態で何年?何十年も経過しました。今になって思うと「ブラシに刃物を取付けよう」と考える時「刃物=危険」という思いが頭の中を占め、「怪我しないように、安全、安全」とそればかりを考え、刃物の取付けの発想が固まっていました。

非常識な発想のひらめき

「非常識な方法で、試作だから多少危険な方法でも良い。
頭から多少血が出ても良いから、
髪がカット出来る方法はないものか…」

何十年も経過したある真夏の夜、暑く寝苦しくて目が覚めました。その時フッと昔読んだ「アイデアの出し方」の本の中に、” 常識は非常識…常識ではアイデアは浮かばない ”の記述があった事を思い出した。「そうだ ! 怪我をしてもいい、刃物を頭皮に向けてみよう…!?」「まずは、髪がすければいい!」真夜中に飛び起きてT型カミソリをブラシに糸でくくりつけて試作品をつくり、自分の頭で試してみるとハラリハラリと髪が切れました。その瞬間「ヤッター!これなら上手くいく」と心の中で叫びました。

試作ブラシ1号

試作ブラシ2号

ブラシの中心に、もともと開いていた一列の穴を大きくし、カミソリの刃が取り付けられる様にしました。次にT型カミソリの持ち手部分と肌に当たる部分を取り除き、刃先を剥き出しにしてはめ込み、髪をブラッシングしてみました。
ブラッシングするだけで、髪が梳けていく!切れた髪の跡もわからいほどになり「これなら絶対上手くいく」と確信しました。

事業化に向け協力会社探し

試行錯誤したどり着いたアイデア、
すぐ商品化に協力してくれる会社は見つかるだろう。
と意気揚々と一緒に商品化してくれそうな会社探したが…

早速、国内の大手ブラシメーカーの開発部に電話すると「以前、ブラシを使ってヘアカット出来ないか社内で大々的にとり組んだが、どうしてもうまくいかず、開発を断念した」との返事、「会って話だけでも…」とお願いしましたが、全く取り合っていただけませんでした。
また、他のブラシメーカーでも「このブラシにはカミソリが必要だから、カミソリメーカーに相談した方が良いのでは…」と断られ、また、カミソリメーカーに相談すると「ブラシメーカーの方がいいのでは?そちらに相談したら?」と言われ、協力してくれる会社は見つかりませんでした。こんなに簡単に髪がすけたりカット出来るのに、商品化に協力してくれる会社が無いのか…と、落胆してしまいました。

以前勤めていた大手会社の看板、肩書きを背負って営業していた時とは違い、無名な個人営業の辛さ…本当に身にしみました。

自分で商品化することを決意

「こんな状態では商品ができないから、
自分で会社を立ち上げ商品化しよう」

友達3人で会社を立ち上げ、以前勤めていた会社の仲間や友達20人に2,000万円出資を協力していただき、商品化を進めることになりました。
まずは、会社名を決めなければ、私は久雄・あだ名はキューちゃん → 9 → イタリア語でノーヴェという事で、
株式会社ノーヴェの誕生です。

素人達の商品開発

優先課題をすける髪と安全対策として
新たな試作品作りに取り組み始めた。

まず、開発にあたり財団法人工業技術センターにアドバイスをいただきながら、新たな試作品として、T型カミソリの刃先剥きだしの部分を、ブラシのピンの長さと同じにして髪のすける量の調節と、安全(手を切らない様)を確保するため、刃先に太く編んだ糸のリブを付け、テストを行いました。

3種類の試作品

3種類のカミソリ(A・糸リブなし)(B・糸リブ3本)(C・糸リブ4本)の持ち手とカミソリの角度を全て合わせ、
すける量の調査を実施。同じ条件で、新品のカットウイッグの後頭部の髪の多い部分を使用し、髪をすく場所を少しずつ移動しながら、すける髪の量を調べました。
髪に対して、カミソリの刃が、同じ角度になるようにT型カミソリを頭髪に差し込み、髪の下部をモノサシで、髪の表面から2cm軽く頭皮に向い押しながら、T型カミソリを下に5cmずらして髪を梳く、A・B・Cそれぞれ、何本の髪が切れたか調べました。

A:刃先剥き出しの髪のすける量を100%とした場合、
B:糸リブ3本(刃先4分割)は、57%
C:糸リブ4本(刃先5分割)は、36%という結果でした。
結果を確認しカミソリの安全面、髪のすける量から刃先のリブ(突起)は、3本で進めて行くことにしました。

髪をカットした時に、痛くならない角度の追及

カットに適したカミソリ角度を探すため、角度を変えることのできる木製試作コームを手作りで作成し髪のすける量と切れ味の良い角度を探しました。コームを水平に保ちながらそのまま下へおろし、髪のすける感触を比べました。カミソリ角度は、3パターンの木製試作コームを使用し、何人かの女性の協力も得て、人の髪でもテストを行いました。

すける髪の量の追及

刃先とブラシのピンの間隔により、すける髪の量がどのように違うかを調べました。刃先とピンの間隔が、異なる木製試作コームを作り、3枚のカミソリの刃先を切れないようにガードし、一枚のカミソリですける髪の量を比較しました。

ピンとカミソリの開きAのすける髪の量を100%とした場合、Bでは72%、Cでは42%の結果でした。
ピンとカミソリの間隔Aでも、すける髪の量に問題はありませんが、ピンとカミソリの間隔を狭くすれば、その間に指などが入りにくくなり、より安全であると考えました。一回のブラッシングですける髪の量を減らしても、ブラッシングする回数を多くすれば、よりきめ細やかに思い通りに髪がすけるという事で、Bの間隔を採用しました。

刃先の向く方向に対し、ブラシに立てるピンの位置決め

右手でも左手でも髪をすくことができるように、刃先が180度反対を向いた時でも、ブラッシングした時のすける髪の量が一定になるように、刃先のピンの位置はどこが適当か、ピンはブラシ全体で何本位どの位置に必要か、研究テストを行いました。

特許出願

「過去に、このアイデアを考えた人がいれば、既に商品化されて出回っているはず。世の中にそれらしい商品が見当たらないということは、必ず特許になる」「ああ、早く商品として世に出したいな…」と、はやる気持ちで弁理士さんを訪ね、特許出願をお願いしました。ヘアカットのアイデアを考えはじめてから、30年以上過ぎていました。

商品デザイン・製造

弊社はデザイン関係に全く縁もゆかりもなく当然知識もありません。ただ、ヘアブラシのメーカーは大阪に集中している、それだけの情報で、大阪のデザインセンターに伺って相談しました。担当の方は本当に親切で、ブラシのデザインが得意そうなデザイナーを、5人紹介していただきました。
5人のデザイナーと順次面談をして、ラフデザインを提出していただくことにしました。
商品の性質上、洗面所や風呂場で使用することもあり、ブラシ本体内部に絶対水など入らないデザインを希望しました。

提案デザイン

デザイン決定

製造協力会社は、地域活性のため「伊那谷で製造したい」との希望はありましたが、いままで製造業界に無縁の為、どの会社にお願いすればいいか、全く判りませんでした。地元の産業展に行き、「企業ガイドブック」から探したり、知人の紹介や、支援していただいていたコーディネーターに同行していただき、協力していただけそうな会社を訪問し、ブラシの説明をして歩きました。この世の中に無い商品で、実績が無く、無名のメーカー、売れる保証がない…。製造に協力してくれる会社は、なかなか見つかりませんでした。

数か月後、同じ伊那谷(中川村)で、製造から出荷まで行っていただける会社にお願いすることができました。
ブラシのデザインを見て、製造業者に言われた、「成型をやってみないとわからない」の言葉の通り、問題が山積、解決のための打ち合わせを何回もし、金型を何回も修正し、試行錯誤の末、1年近くかかりブラシとコームが完成しました。

商品名「Salone(サローネ)」は、イタリア語で「サロン」の意味

右手でも左手でも髪をすくことができるように、刃先が180度反対を向いた時でも、ブラッシングした時のすける髪の量が一定になるように、刃先のピンの位置はどこが適当か、ピンはブラシ全体で何本位どの位置に必要か、研究テストを行いました。

工業技術センターの電子顕微鏡で、カット面が非常に綺麗なことを確認

こうして、長い年月を掛け研究・開発し完成したsaloneヘアカットブラシ・コームは、美容師カットと同様に、頭皮に近い奥の髪をすくことが出来ることで、カット面が表に出ずとても綺麗に仕上がる商品として誕生いたしました。

最後に伝えたいこと

Saloneヘアカットブラシ・コームに込めた想い

Saloneは、「子どもの散髪が上手くできない」誰でも簡単に散髪できないか?このきっかけが、はじめの一歩として、開発がスタートしました。

特別な技術は必要とせず、誰でも安全で簡単にヘアカットできることを優先し、尚且つカット面を綺麗にしてサロンクオリティに仕上げることで、小さなお子さんのヘアカットも素早く安全にでき、また外出が難しい高齢者や介護が必要な方にお使いいただきたい、気軽におしゃれを楽しんでいただきたい、笑顔でいられる生活を送っていただけることが、Saloneの願いです。

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